お散歩をしていたら、梔子(クチナシ)の香りが漂ってきました。
八重咲のクチナシの花。
まるで薔薇のように豪奢ですね。
和名「口無し」の由来は、一説には、その果実が熟しても割れないため、と言われています。
また、学名の”Gardenia jasminoides” は「ジャスミンのような」という意味があるのだとか。
確かに、ジャスミンやイランイランの精油の香りに似た、むせ返るように甘い香りです。
不思議なのですが、薔薇(バラ)や茉莉花(ジャスミン)・イランイランなど、甘い芳香を持つ花の精油は、“心臓の熱を冷ます”働きを持つ、共通点があります。
クチナシはどうでしょう。
秋に実るクチナシの果実は、“山梔子(さんしし)”と呼ばれる生薬。
その味は“苦”、性質は“寒”。
清熱効果に優れ、消炎・解熱・鎮静の他、黄疸の治療などに応用されます。
“血熱”を持ち過ぎたために生じる緒症状を、和らげてくれる感じですね。
この“山梔子”。
あまりなじみがないように思われるかもしれませんが、実は意外と身近な所に使われています。
クチナシの果実には、サフランの色素成分と同じ、カロチノイドの一種・クロシンという物質が含まれています。
サフランと言えば、スペイン料理のパエージャ(パエリア)にかかせない香辛料。
パエージャのごはんは、黄色いですよね。
クチナシの果実も、古くから黄色の着色料として利用されてきました。
発酵させることによって、青色の着色料(青色〔5〕)にもなるのだとか。
これらは、染料としてだけでなく、食品にも用いられています。
代表的な所で言えば、お漬物の“たくあん”の黄色。
その他、和菓子や加工品にも用いられています。
この美しいお花と、たくあん漬けがつながっているなんて、面白いですね(^_^)
自然素材の着色料ですし、その効能も漢方生薬に利用されていることから、お墨付き。
クチナシの果実を乾燥させておいて、お料理やお菓子の色付けに、利用してみてはいかがでしょうか。
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