2016年6月7日火曜日

五味シリーズ”甘味”―お砂糖のおはなし④

■精製されたお砂糖の弊害■                           

黒砂糖、甜菜糖、上白糖、グラニュー糖、三温糖、氷砂糖…
”お砂糖”と一言で言っても、色々な種類がありますね。

”お砂糖”は、製造法によって、ミネラル分などの成分を含んだ”含蜜糖”と、糖分のみを精製する”分蜜糖”とに、大きく分けられるのだそうです。

お砂糖の原料であるサトウキビやテンサイ(サトウダイコン)などの植物には、もちろん糖質以外のミネラルやビタミンが含まれています。

含糖蜜には、黒砂糖、赤砂糖、和三盆、メープルシュガーなどがあります。

一方、糖蜜を分離し、精製される分蜜糖。
日本で最もシェアの大きい上白糖は、分蜜糖になります。
結晶の粒の大きさなどによって、グラニュー糖や上白糖・三温糖などができるそうです。

*三温糖は色が着いていますが、白砂糖にカラメルなどで着色しているものが多く、白砂糖とほとんど同じものなのだそうです。

糖蜜というのは、精製する側から見れば不純物とも言えますが、糖分以外のミネラル分などのこと。
つまり、精製された砂糖は、ビタミンBやカルシウムなどのミネラルが除去されている状態なのです。

糖分としては、純度が高く、構造も簡単なのですぐに分解される精製されたお砂糖。
エネルギー補給源として良いように思われますが、たくさん食べるとどうなるでしょう。

まず、ひとつめ。
体内でブドウ糖に分解するために、人体からビタミンBやカルシウムを調達します。
つまり、体内のビタミンBやカルシウムが消費されます。

*ビタミンB類、特にビタミンB(サイアミン)は、糖を分解する過程で使われ、脳の働きにも重要な栄養素です。
炭水化物・デンプン・糖質などの主なエネルギー源になる物質をエネルギーとして利用する働きを助け、脳神経や末梢神経の働きを調整し、筋肉の協調運動バランスを正常に保つ働きを持ちます。

次に。
お砂糖は、酸性食品です。
当然、たくさん摂取すると、血液は酸性に傾きます。

動物性食品の摂取が多い現代人の血液は、ただでさえ酸性に傾きがち。

このバランスの偏りをただし、体内を中性に保とうと、アルカリ性のカルシウムイオンが使われます。 
自分の骨や歯などから、カルシウムを調達するのです。
結果として、虫歯や骨粗鬆症など、歯や骨の軟弱化を招く可能性が指摘されています。

この他、お砂糖の大量摂取は、精神性疾患や痴呆症状との関連も指摘されているそうです。
ジュースやお菓子など、お砂糖をたくさん使用した食品を日常的に食べることで、低血糖状態が繰り返され、これによって脳がダメージを受けてしまうとためではないかと考えられています。

…と、こうした弊害を並べてしまうと、お砂糖が悪者みたいになってしまいますね(・・;)
でも、お砂糖は別に悪くないのです。
市販されているおやつには、お砂糖だけではないリスクがたくさんあります。

要はわたしたちの食べ方、にあります。
どんなに身体に良いと言われるものでも、過ぎれば何らかのアンバランスを生じますから。

それともう一つ。

お砂糖のリスクを一方的にとらえた企業が“シュガーレス”を謳った商品も多く目にします。
しかし、アスパルテームやスクラロースなどの人工甘味料は、精製されたお砂糖以上に、摂取には注意が必要です。
人工的なものというのは、やはり自然ではありませんから。

”甘味”は五行では土行に属し、脾胃を補う味

日々のエネルギー源となる”甘味”の摂取は、生きる上でとても大切なのです。
実際、薬膳の世界でも、酸・苦・甘・辛・鹹の五味に分類される食べ物の中で、”甘味”は最も大きな割合(約7割)を占めます。

命を養うため、日々の食事で”甘味”に頼る部分は大きい。
それだけに、”甘味”の過剰摂取の影響は、深刻になります。

お砂糖に限らず、主食となる炭水化物も含め、”甘味”について理解を深め、出来る事から心がけてみてください。


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