2016年6月24日金曜日

本草MEMO~酸漿(ホオズキ)

近所の神社に立ち寄ると、ちょうど、千日詣りの縁日。

社殿前には、六月の晦日(30日)の “夏越の祓(なごしのはらえ)” に因み、“茅の輪”も設けられ、境内では”ほおづき市”が催されていました。



“千日詣り“
この日にお参りすれば、千日分のご利益があるのだとされる、サービスデー。
浅草の浅草寺の観音さまの、四万六千日(何と、46000日分のご利益がある)の縁日なども有名。

“夏越の祓”の茅の輪くぐり
この輪をくぐって、罪穢を浄めてもらうための行事。”生まれ変わり”の意味もある。
十二月の大晦日の”年越の祓”に対して、六月のものを”夏越の祓”という。
疫病などにならぬよう、暑い猛暑を無事に越えるための祈りを込めた、除災の行事。

”ほおずき市”
江戸時代、青ホオズキの実を呑めば、「大人の癪の虫を切り、子どもの癇の虫を封ずる」というお告げがあったという故事に基づく。「御夢想の虫薬」として、ホオズキの市が立つようになった、とか。

極楽浄土が保証される御朱印とか、お戒壇めぐりとか。
神仏に関わらず、日本人って、結構こういう、お得感(?)を感じる行事が、好きですね。
信心に、お得感も何もないですが…(^_^;)

夏越の祓の茅の輪、千日詣り、ほおづき、これらが、夏の風物詩であることは間違いありません。



さて、今日は、ホオヅキについて。

夏の暑い時期、お盆にも飾られる植物だからでしょうか、ホオヅキは、どこか“死”を連想する植物です。
“鬼火”なんて漢字を当てることもありますしね。

夏を彩る鑑賞植物としてだけではなく、いざと言う時には食用ともなる、救荒植物として紹介されています。

葉ゆで水に浸し苦味を去り調和食ふ。又実の熟したるものも葉の如く製し食べし
『備荒草木図』より
ホオヅキは、ナス科の植物です。
『本草綱目』によれば、葉や茎の味は“”、性質は、やはりナスと同じで、熱を冷ます“”とあります。

ホオズキの実と言えば、祖母がよく、赤く熟した実を焼酎漬けにして、それを咳止めにしていました。
とても苦いのですが、咳きこんで苦しい時に一舐めすると、不思議と治まった記憶があります。

『本草綱目』にも、「湿を利し、熱を除く。肺を清くして咳を治し、痰を化して疸を治する」とありますから、解熱や、咳止めの効能は、確かにあるのですね。
外用薬として、喉に塗っても良いようです。

ホオヅキの根は、酸漿根(さんしょうこん)という生薬です。
子宮の収縮作用を促す成分を含み、江戸時代では堕胎剤として利用された歴史を持ちます。
妊婦には良くない、とも言われる一方で、その解熱の作用から、胎熱に効き目があると言われていました。

使い方によって、毒にも薬にもなる。

植物というのは、不思議な存在ですね。


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