湿気と言えばカビ。
幼い頃、田舎のおばあちゃんの家に泊まりに行った時の、お布団とお座敷の独特のかび臭さを、懐かしく思い出します。
日本に暮らすと、とにかく”カビ”という存在を無視することは出来ません。
例えば、日本の住居は、湿気対策を第一に考えた造りになっていると言います。
粘土質の土と陶工技術に恵まれながら、煉瓦の文化が定着せず、木造の建造物が定着したのも、カビとの戦いの結果なのだとか。
子どもの頃よんだおとぎ話『三匹の子豚』で、一番頑丈な家は、三番目の子豚が作った煉瓦の家でした。
木というのは火に弱いですし、煉瓦や石造りの建造物が主流の文化圏の人から見ると、ちょっと心許ないかもしれません(^_^;)
江戸の街が何度も大きな火災被害にあったのも、木造建築が大きな原因の一つです。
けれども、環太平洋火山帯の真上に位置する日本は、その場所がら、地震が多いという特徴があります。
湿気だけでなく、さまざまな理由で、木造が選択されたのでしょう。
見方を変えてみましょう。
五行では、“水”は“木”を生み育てる、という相生関係にあります。
やはり”水”に恵まれないと、豊富な”木”は育ちません。
もちろん、水が多すぎたら木も腐ってしまいますけれどね(^_^;)
なんでもバランスです。
ともかく、“湿気”が多い気候風土というのは、“カビ”などの悩みもありますが、植物が良く育つ環境=豊富な木材を恵んでもらえる環境、でもあるわけです。
そして木というのは、奈良の正倉院に代表されるように、”湿気”に強い(というよりも、相性がいい)のですね。
*現在では校倉造りの壁自体が、湿気によって伸縮するという、調湿空調機能は認められていないとも言われています。
ただ、正倉院や宝物を納めた木箱の材料である、スギやヒノキなどには、やはり優れた調湿効果が認められています。
そう言えば、アロマオイルでも、ジュニパー、シダーウッド、サイプレス、シダーウッド、サンダルウッドなど、ヒノキ科やマツ科の植物や、木を原料とする精油は、全般に”泌尿器系”に働きかける特徴があります。
*木というのは、土から水を吸い上げる、いわば水の通り道。
要するに、体内の水分=”湿気”をめぐらせる働きに相似します。
だから、過剰な水分によって起こる、特に下半身のむくみなどを解消しやすい、と言われています。
木の持つ調湿能力は、“湿気”と敵対する強さではなく、“湿気”に素直な性格と言えるかもしれませんね。
“湿気”という気候風土の土台の上に成り立つ木造の文化は、”湿気”による恩恵を享受して育っているのです。
そして、“湿気”によって育った木は、自然と、”湿気”による弊害をマイルドにしてくれる働きをしてくれます。
やはりこれも、陰陽のバランス関係と考えることが出来るのではないでしょうか。
衣食住の“住”と“気候風土との関係を考えてみました。
次回は、“食”との関係について、考えてみようと思います(*^_^*)
0 件のコメント:
コメントを投稿