晴れている日でも、なんだか息苦しいくらい、空気が水分を持っている感じです。
日本の気候風土の特徴を一言で表すなら、この季節に代表される“湿”でしょうか。
日本は本当に湿気の高い国です。
その湿気が、良くも悪くも私たちの身体的な症状、心理的な思考の在り方、文化や生活習慣にまで影響していることを、ご存知でしょうか?
まずは、湿気の身体的な影響について。
私たちの身体は、いつも新しいものを取り入れ、不要なものを排泄する循環運動をしています。
特に細胞に必要な新しい水を取り入れ、古い水を出すことを水分代謝と言いますが、この水分代謝は普通、尿・便・汗(要するに自分から出ていくもの)によって行われています。
マンガなどの“暑さ”の常套表現として、よく“汗”が描かれますね。
ジットリ・ベタベタ・ダラダラ・ビッショリ・・
様々な発汗の表現があるように、確かに暑いと、時に不快感を伴って皮膚に汗が滲み出てきます。
でも、汗をかく理由は、“暑さ”だけではありません。
体内の排熱のために発汗すると同時に、水分代謝も兼ねているのです。
さて、目に見えて汗をかいているのだから、水分を十分に出しているように思えますよね。
ところが、日本人よりも、乾燥した気候風土の人の方が、汗腺の数は多いのだそうです。
不思議ですね。
皮膚から出る水分は、“汗”というカタチだけではないのです。
自分でも気がつかないうちに、気体として体外に水分を放散することを、不感蒸泄と言います。
皮膚から蒸発する水分というのは、意外に多いもの。
*一日に約600ミリリットルの水分が蒸発するとも言われます。
乾燥していると、皮がカサカサしてくることがありますが、それは乾燥した空気が、皮膚の水分を奪うからです。
つまり、乾燥した状態だと、皮膚から水分を蒸発させることが出来るのです。
ところが、湿気が多い日本では、不感蒸泄はほとんどできません。
だから、汗をかくのです。
つまり、日本の気候では、皮膚からの水分代謝の効率が悪いと言うことになります。
その分、体内の不要な水分を出すためには、利尿に頼るしかないのです。
利尿を主るのが、五臓の中の”腎”。
水分代謝を利尿に頼る日本人は、この腎にとても負担がかかります。
これは、気候風土がカラダに要求する条件、と言ってもいいのかもしれませんね。
東洋医学では、腎の働きを補い、滋養する味は鹹(塩辛い)味と言われます。
この鹹味の“鹵”は、苦汁を意味するそうです。
苦汁と言うのは、現代の栄養素で言えば、マグネシウムやナトリウム・カリウム・カルシウムなどのミネラルにあたります。
つまり、ただ塩辛いだけではなくて、ミネラルが含まれる味を鹹味と言うのです。
その代表が、海の水。
不思議ですね。
海に囲まれた日本だからこそ、湿気が多い気候風土なのです。
湿気が多い気候風土だからこそ、”腎”に負担がかかるのです。
湿気が多い気候風土だからこそ、”腎”に負担がかかるのです。
そして、その海の水が、”腎”を助けてくれる味なのです。
”海に囲まれた島国”というひとつの事実に対して、負わなければならないリスクと、同時に与えられるメリット。
これも陰陽-自然界のバランスと考えることが出来るのではないでしょうか。
0 件のコメント:
コメントを投稿