2016年3月10日木曜日

春の匂い

自然に親しんで育ったせいか、季節の移り変わりを、草木や風に教えてもらうことが多いです。

この季節、風に沈丁花の匂いが混ざりだすと、新しい季節が始まるんだな、という感じがして、わくわくします(*^_^*)


同時に、いつかの春に感じた、不安や焦りや心細さまで蘇ってきて、何だかそわそわします。

そういえば、“匂い”と記憶は、とても深い関係があるそうです。
嗅覚は五感の中でも最も原始的で、脳の中で匂いの情報を伝達する入り口となるのは、大脳辺縁系の“嗅覚野”という部位。
“嗅覚野”は、記憶を司る海馬や、感情と深く関わりのある扁桃核と近い位置にあるんだとか。

匂いがさまざまな記憶を呼び覚ますのは、こうした理由があるんですね。

…と、アロマセラピストだった頃、そんな勉強を必死にしたことも、この季節になると思い出します。

東京は人の多い街です。
ふと目をやった歩道橋の向こう側で信号待ちしている人の多さに、驚くことも少なくありません。
これだけ人が集まれば、悲喜こもごも、毎日様々なドラマは起こるでしょう。

昔から都会に憧れる、なんてことはなくて、むしろなんの理由もなく、”都会はコワい所”だと思っていました。

空も狭そうだし、
空気も悪そうだし、
お水も美味しくなさそうだし、
道行く人もみんなよそ行き顔で、クールな感じだし、
事故や事件も多そうだし、
緑が少なくて、なんだか殺伐としていそう…

…と、ネガティブなイメージばかり(^_^;)

ご縁あって住んでみて気が付いたことは…

場所によりますが、空が意外と広いこと。
夕暮れ時のビル群が、優しい表情を見せてとても綺麗なこと。
公園や街路樹、それにそれぞれのお家にも、限られたスペースを上手に生かして緑がたくさん植えられていること。

そして、人が多いということは、それだけ思いやりや優しさも多いということです。

道を聞いた時、親切に教えてくれる人はもちろん沢山いますし、地下鉄で席を譲り合う姿を頻繁に見かけます。
お花屋さんが花束に大目に花を入れてくれたり、犬の散歩をしていたおじさんに、犬を撫でさせてもらったり…。

道端に咲いた沈丁花の花の香りに、足を止めているサラリーマンの姿を見て、春に気づく人がここにもいるんだな~と嬉しくなりました。

自分の目が、善意や微笑ましい風景を拾うようになると、そこはとても居心地の良い世界に早変わりするから不思議ですよね(*^_^*)

素敵な春がみなさんに訪れますように。

~植物MEMO~
沈丁花(ジンチョウゲ) Daphne odora
 ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属
中国名は瑞香(ずいこう)。和名は“沈香”と“丁香”を合せたような芳香から。
消炎・鎮痛作用があり、民間療法では花を煎じて、喉の痛みや口内炎・腫れ物などに利用する。


 

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