2016年5月20日金曜日

本草MEMO~繁縷(ハコベ)

春の七草のひとつ、ハコベ。
白い小さなお花が可憐な感じですが、意外と生命力の強い野草です。


七草粥のメンバーとしてよく知られている通り、もちろん食べられます。

「葉をゆで、水に浸し、塩味噌に調へ食すべし」 『備荒草木図』

その性味については諸説ありますが、江戸時代の本草医薬学書『本朝食鑑』によれば、味は微鹹(甘くて、少し塩辛い味)、性は寒熱の偏りのない

「一切の積年の悪瘡・下血に良い」 『本朝食鑑』

とあり、滞った血に働きかけるようです。
また、”乳”は血が変化したものと言えます。

ですからハコベは”母乳”とも関係が深く、

「血を破り、乳汁を下す。産婦が食ふが良し。産後腹に塊通あるには、酒で炒って汁を絞って温服する」 『本草綱目』

「全草を婦人産後の浄血薬及び催乳薬として煎用す」 『食用植物誌』

など、妊婦さんへの効果を期待した利用法が記載されています。

民間療法でも、ハコベを食べると母乳が出ると言われ、また煎じて飲めばお産前後の養生に役立つと言われています。

他に、面白い利用方法としては、江戸時代はハコベのしぼり汁と塩を煮詰め、”ハコベ塩”を歯茎の出血や歯槽膿漏の予防など、口内ケアにも使用したとか。

”急ぐ道 歩いて息が切れるなら ハコベの汁を しぼり飲むべし”

と古歌にあり、息切れの妙薬でもあるそうです。

抗菌・消炎・体を温めるなどの作用から、ただ何となく通り過ぎる草で終わらせるのは、もったいない(笑)

採取したての物は、塩ゆでして一晩水に浸ければ、お浸しや御汁の実にもなりますし、細かく刻んで混ぜご飯にしても、クセが無くてオススメです。

乾燥させたものをお茶にしても良いですが、少し青臭いので、陳皮(ミカンの皮を乾燥させたもの)や山椒など、香りの良いものと合わせると、独特の匂いも消えますよ。

昨年、大量に採取したハコベを乾燥させ、お茶にしようと思ったのですが、青臭さが気になり…そこでハコベを粉にして、岩塩と合わせた”即席 ハコベ塩”を作ってみました。

しかし、なかなか使用する機会がない…(-_-;)

そこで、他のハーブと合わせてパンに練り込んでみたら、青臭さも気にならずに頂けました♪

ハコベとハーブの全粒粉パン ゴーダチーズのせ

ひよこ豆と青大豆と、セロリ・玉ねぎ・ピーマンのみじん切りを、
トマトやクミン・ターメリックなどのハーブで煮たもの ヨーグルト添え
(長い…適当な料理名が分からないので(^_^;))



0 件のコメント:

コメントを投稿