新緑の季節、風にたなびいている鯉のぼりを見ると、なぜかワクワクします。
一日遅れてしまいましたが、5月5日は「こどもの日」。
五節句の一つ、端午(たんご)の節句でしたね。
*「端午」とは、旧暦の午の月(5月)の最初(「端」とは「はじめ」を意味する)の“午の日”のこと。
端午の節句の別名は、「菖蒲の節句」。
五節句はどれも植物と縁があることは、以前の桃の節句の記事でも取り上げました。
菖蒲の葉は剣のように鋭く、実際に殺菌力も持っています。
『本草綱目』では、その味は辛、その性は温とし、古代から“神仙の薬”として尊ばれてきたことが記されています。
元々は、季節の変わり目に身体を養生する知恵として、植物の力を借りるのがその起源。
菖蒲や蓬などの邪気を祓う薬草を軒下につるしたり、菖蒲湯に浸かったりして、無病息災を祈願しました。
ですが、日本では時代が下って、武家社会になると、「菖蒲」と「尚武」(しょうぶ:武を尊ぶの意)をかけ、男児の節句として定着していったようです。
*柏餅を食べ、鯉のぼりや兜飾りを飾る…これらは”男児の節句”となった日本独自の風習のようです。
柏は新芽が出るまで古い葉が落ちないことから、「家系が絶えない」縁起物として広まりました。
鯉のぼりや兜飾りは、男児の出世や、武芸上達などを祈願して飾られます。
ちょうど立夏を迎えるこの時期は、春から夏へと季節の変わる節目の時。
気温の寒暖の差が激しく、体調のバランスを崩しやすいため、植物の力を上手に借りつつ、養生されてくださいね。
もう遅いですが…端午の節句にオススメの簡単食養生レシピをご紹介します↓
【粽風中華おこわ】
〈材料〉
もち米・うるち米:同比率
鶏肉・油揚げ・椎茸・筍・人参・生姜などの具材
だし汁・ゴマ油・薄口醤油・酒・みりん・オイスターソース・塩
〈作り方〉
① もち米とうるち米を合わせて洗い、炊飯器に入れておく。
② 椎茸・鶏肉・人参・筍はサイコロ状に切る。
③ 油抜きした油揚げは細切り、生姜はみじん切りに。
④ ②③の具材をゴマ油で炒める。
⑤ ①にだし汁と調味料適量を加え、④を入れて水を加減し炊き上げる。
⑥ 炊き上がったら、香り付けにゴマ油を適量加え、全体を良く混ぜ合わせる。
本格的な粽は、笹の葉で包んで蒸すのですが、炊き上げたおこわを、笹の葉の上に乗せるだけでも雰囲気は出ますよ。
また、男の子の節句ということで、”男は度胸”。
キモの据わった素敵な男性になるためには、肝と胆を養生するのが一番です。
肝胆の好む味は薬膳的には酸味ですので、蓬や筍など、山菜を使ったちらし寿司もオススメです。
今年の春の恵みを味わえるのも、あと少し。
この季節にしか出会えない旬の食材を、楽しんでくださいね(*^_^*)
余談ですが、中国の故事*にあやかり、男子の立身出世を願って飾られる“鯉のぼり”。
真鯉の上に、五色の吹き流しがついていますが、これは五行に由来します。
意外なところに、五行の文化が息づいているものですね。
*竜門という滝を上りきった鯉が、竜となって天へ昇ったという故事に基づく。“登竜門”。
せっかくなので、”立身出世”だなんて現世的なことに留まらず、より自分を高めて次元上昇していくような、もっと壮大な祈りを込めようと思います(*^_^*)