2016年2月16日火曜日

五行ってなんだろう?その3~五味と五臓の関係~


今回は五行の中でも、食に関係する五味と五臓の関係について。

五行ってなんだろう?その2でお話した通り、五行は、木・火・土・金・水、それぞれ同じ行に分類されたものと密接な関係があります。

食べ物の味を五行に当てはめた“五味”をみていきましょう。

木行に当てはまる五臓は“肝”、五味は“酸味”。
火行に当てはまる五臓は“心”、五味は“苦味”。
土行に当てはまる五臓は“脾”、五味は“甘味”。
金行に当てはまる五臓は“肺”、五味は“辛味”。
水行に当てはまる五臓は“腎”、五味は“鹹味”。*塩辛い味。

 五味はそれぞれ、同じ行に配当される五臓の働きを助け養う味とされます。
 そして、それぞれの味には得意技というか、特徴があります。

酸味は、解毒作用と、ものを引き締める(収斂)作用。
苦味は、ものを固め、不要なものを排泄する(瀉下)作用。
甘味は、ものを和らげ、中和する作用。
辛味は、温めて発散し、気を巡らす作用。
鹹味は、利尿作用と、ものを柔らかくする作用。

また、五味と五臓の関係は、相生・相剋の関係も踏襲しています。




例えば五芒星の形であらわされる、相剋関係
本来”相剋”は、正常な制約として働き、五行間のバランスをとるための重要な役割を担います。

でも、どれかの味を食べすぎてしまうと…
 
例えば“肝”を補うはずの酸味。
取り過ぎると、まず“肝”自身の負担になります。
そして相剋関係にあたる、五臓の“脾”の働きを抑えてしまう、と言われています。

*相剋関係をすべて書いてみると↓

木剋土(木は土を剋する)⇒肝を養う酸味は過ぎると脾を剋する
土剋水(土は水を剋する)⇒脾を養う甘味は過ぎると腎を剋する
水剋火(水は火を剋する)⇒腎を養う鹹味は過ぎると心を剋する
火剋金(火は金を剋する)⇒心を養う苦味は過ぎると肺を剋する
金剋木(金は木を剋する)⇒肺を養う辛味は過ぎると肝を剋する

そのため食養生では、バランスの偏りを防ぐため、相剋関係の味を組み合わせて食べるようにします。

酸味には甘味を。
甘味には鹹味を。
鹹味には苦味を。
苦味には辛味を。
辛味には酸味を。

これを“二味の原則”と言います。

この“二味の原則”、実は基本的な料理法の中で生かされています。

例えば、酸味の代表格、お酢は“脾”を補う甘味と合わせて“甘酢”として使われます。
甘味を加えることによって、酸味の収斂作用が脾胃の負担にならないようにしているのです。

また、甘味は摂り過ぎると“腎”の負担になり、むくみやすくなります。
これを防ぐため、甘いものにはすこーしだけ塩分を加えると良いのですが、あずきを甘く煮て作る“あんこ”にも、この原則が生かされていますよね。

昔から受け継がれてきた何気ないお料理法には、実は薬膳の理論に裏付けされた“理由”があります。
 
世間では健康ブームで、いろいろな効能を持った食材や成分が紹介されていますが、もっとシンプルに“二味の原則”をちょっとだけ意識して、日々の食事を見直してみてください。

 
 
 

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