2016年2月25日木曜日

ヘイちゃんのバランス絵本①動画アップしました



バランス絵本ってどんな内容なの??

という方、ぜひ一度ご視聴ください。

シリーズ②~自然とカラダのふしきな関係~も4月頃アップする予定です。


2016年2月23日火曜日

ちょっと斜めに五行をみてみる


とりあえず、前回までで、“薬膳”“食養生”の基本理念、陰陽と五行についてのお話は、ものすごくざっくりとですが、何とかまとめました。

あ~めんどうなのが終わった~ヽ(^o^)丿♪

と、言うことで、今回は余談です。

東洋医学の基本理念である五行。

よくここまで体系付けたな~と思いますし、何千年の歴史を否定する気はありませんが、個人的に、この五行の法則には少し疑問があります。

というのも、五行の運動法則は、相生の五角形と相剋の五芒星に代表されるように、“平面”的だと思うのです。

自然はもちろん、わたしたちは物体・立体だし、三次元の世界で生きています。

二次元の平面的な運動法則で、果たして三次元の自然や人体のバランス法則を表現しきれているのかな…?と。

円で表現される“陰陽”はまだ、球体(立体)で想像することができるのですが、五行に対するこの疑問は、今でもぬぐえません。
ひとつのモノの見方・考え方としては、とても参考になると思いますけど。

例えば、五行図を見ると、五行は五つの要素が“対等”にあるように見えます。

でも、実際にこの五つの要素は、全然平等に表現できるものではありません。そもそも、火とか水とか土とか木とか金とかが、それぞれどのくらいの量と質を以て“対等”になるのかもよく分かりませんし(^_^;)

相生・相剋の関係も、一見理路整然とすっきりしていますが、わたしのようなひねくれもの<(^´)>☆には不納得な部分も結構あります。

木剋土(木は土を抑制する)の説明、「木は土に根を張り、土の養分を吸い取って成長する」と説明されていることがほとんどですが、「土が木を養っている」とは考えないの??とちょっと思います。
 
そんなこと言ったら、木生火(木は火を生む)の説明の「木は燃えて火を生じ、火を盛んにする」のだって、「火が木を燃やしている」とも言えるんじゃないの??という疑問も出てくるし、

土剋水(土は水を抑制する)が、「土は水濁す」とか、「土で作った堤防は水の流れを支配する」のも、それで相剋になってしまうの?と思ってしまいます…

どっちかって言えば、水剋火の関係で水は確かに火を消しますが、火で沸かされたら水は蒸発して消えちゃいますよ?

とか、いろいろと出てくるわけです。

さて、五行図。
”五行”というと「相剋理論」に基づく五角形の形が定着していますが、実はもう一つあります。
それがこれ↓

これは五行理論の中でも初期の考え方と言われる、”土王説”を表した土王図です。

「相剋理論」では五行は対等の力関係ですが、“土王説”では土が他の四つよりも強く、土を中心にして、木・火・金・水が配置されます。

土を挟んだ火と水、木と土は相剋の関係。

これは土が、木・火・金・水のそれぞれと仲よしで、しかも仲があまり良くないお友達同志(相剋関係)を、仲裁する位置にあることを示しています。

この”土王説”は先ほどの木剋土や土剋水の(わたしが感じている)矛盾を解決してくれたので、個人的に好きです(*^_^*)

でもやっぱり、この世界のバランス法則を説明するには、五つの元素では何か足りない気がするし、相生・相剋の運動法則の方向にも、もう少し複雑な動きがあるように思えます。

これはわたしの感覚的な印象なのですが…

もしかしたら”五行”は、“モノ”の流転(移り変わってゆく様)を、表現しているのかな~と思います。

この世界の全ての物質は、顕微鏡の世界よりももっと細かいところまで、ずーっと拡大していくと、粒子と波(波動)で出来ていると、聞いたことがあります。

原子核とか電子とか、専門的なことは分からないですが、万象の最も根源的なモノにまで還元された場合、その組合せによってそれぞれ違う姿になっていくとすれば、例えば机にも私たちの手にも、大差はないということになります…よね(・・;)

原子レベルで見れば、全部が繋がっていて、全てのものは同じだけれど、変化は同時には生じないし、変化する結果(に見えるだけで実はこれも過程の一つなんだけれど)も同じではない、いくつか方向性があるわけです。そこには時間の差と空間の差がある。

この“差”が、木・火・土・金・水という、一見性質の異なる現象を生み、そして変化を促す動力になっている、と考えたら、面白いと思います。

木が摩擦で火を生じて、一部は蒸発して天に昇って水になるかもしれないし、一部は炭になって土になるかもしれない。
土の中で長い間眠っていたら思わぬ出会いがあって、ある鉱物(金属)になるかもしれないし、一部は水になるかもしれない。
水が吸い上げられて植物に宿り、大木となるかもしれないし、あるいは溶岩などが冷えていく過程で鉱物に宿ることもあるでしょう。
木が火を飛び越えて土になることだってあり得るし、土が金を飛び越えて水になることもあるかも…

五行の巡りをぼんやり考えていると、こうしたモノの移り変わる様が見えてくるような気がします。

何が言いたいのかよく分からなくなってきましたが(-_-;)

今回言いたかったのは、”五行”はまだ完全な理論とは言えないのではないかな、ということです。

一つの”見方”としては優れていると思いますが、この理論にすべてを無理やり当てはめるのは、意味のないことですし、大切なのは、それらが表現しようとしている”対象”を、理解しようとすることだと思います。


宇宙のバランス法則が見事に、分かりやすく説明される日が来るのを、楽しみに待ちたいと思います(*^_^*)

 

 

 

2016年2月16日火曜日

五行ってなんだろう?その3~五味と五臓の関係~


今回は五行の中でも、食に関係する五味と五臓の関係について。

五行ってなんだろう?その2でお話した通り、五行は、木・火・土・金・水、それぞれ同じ行に分類されたものと密接な関係があります。

食べ物の味を五行に当てはめた“五味”をみていきましょう。

木行に当てはまる五臓は“肝”、五味は“酸味”。
火行に当てはまる五臓は“心”、五味は“苦味”。
土行に当てはまる五臓は“脾”、五味は“甘味”。
金行に当てはまる五臓は“肺”、五味は“辛味”。
水行に当てはまる五臓は“腎”、五味は“鹹味”。*塩辛い味。

 五味はそれぞれ、同じ行に配当される五臓の働きを助け養う味とされます。
 そして、それぞれの味には得意技というか、特徴があります。

酸味は、解毒作用と、ものを引き締める(収斂)作用。
苦味は、ものを固め、不要なものを排泄する(瀉下)作用。
甘味は、ものを和らげ、中和する作用。
辛味は、温めて発散し、気を巡らす作用。
鹹味は、利尿作用と、ものを柔らかくする作用。

また、五味と五臓の関係は、相生・相剋の関係も踏襲しています。




例えば五芒星の形であらわされる、相剋関係
本来”相剋”は、正常な制約として働き、五行間のバランスをとるための重要な役割を担います。

でも、どれかの味を食べすぎてしまうと…
 
例えば“肝”を補うはずの酸味。
取り過ぎると、まず“肝”自身の負担になります。
そして相剋関係にあたる、五臓の“脾”の働きを抑えてしまう、と言われています。

*相剋関係をすべて書いてみると↓

木剋土(木は土を剋する)⇒肝を養う酸味は過ぎると脾を剋する
土剋水(土は水を剋する)⇒脾を養う甘味は過ぎると腎を剋する
水剋火(水は火を剋する)⇒腎を養う鹹味は過ぎると心を剋する
火剋金(火は金を剋する)⇒心を養う苦味は過ぎると肺を剋する
金剋木(金は木を剋する)⇒肺を養う辛味は過ぎると肝を剋する

そのため食養生では、バランスの偏りを防ぐため、相剋関係の味を組み合わせて食べるようにします。

酸味には甘味を。
甘味には鹹味を。
鹹味には苦味を。
苦味には辛味を。
辛味には酸味を。

これを“二味の原則”と言います。

この“二味の原則”、実は基本的な料理法の中で生かされています。

例えば、酸味の代表格、お酢は“脾”を補う甘味と合わせて“甘酢”として使われます。
甘味を加えることによって、酸味の収斂作用が脾胃の負担にならないようにしているのです。

また、甘味は摂り過ぎると“腎”の負担になり、むくみやすくなります。
これを防ぐため、甘いものにはすこーしだけ塩分を加えると良いのですが、あずきを甘く煮て作る“あんこ”にも、この原則が生かされていますよね。

昔から受け継がれてきた何気ないお料理法には、実は薬膳の理論に裏付けされた“理由”があります。
 
世間では健康ブームで、いろいろな効能を持った食材や成分が紹介されていますが、もっとシンプルに“二味の原則”をちょっとだけ意識して、日々の食事を見直してみてください。

 
 
 

2016年2月1日月曜日

五行ってなんだろう?その2

“陰陽五行学説”は、この世の事物・事象の全ては、木・火・土・金・水の五つの元素から構成されているという考え方です。

自然界の物質も、現象も、もちろん人の身体や感情も、全てこの五つの特性に当てはめて考えます。

まず自然界だと…

春夏秋冬の四季に、各季節の変わり目の土用(立春・立夏・立秋・立冬の前約18日間)を加えて、季節を五季とします。
方角は、東西南北に中央を加えて五方。
色では青赤黄白黒で五色。
食べ物の味では酸・苦・甘・辛・鹹(塩からい味)で五味となります。

*それぞれがどの行に属するかは表を見てください。

*五化・・・天の気を受けた地の作用のこと。

自然の一部であるわたしたちも例外ではありません。

人体の構造と機能―人体組織・構造・臓腑・器官・生理機能と生命現象の全て―を五行に分類することができます。




この表は、五臓を中心として経験的に関連付けて分類され、医学的に応用した病理学理論【五行色体表】として整理されていきます。

病理学理論として見ると、何だか難しそうですが、要するに同じ行に分類されたもの同士とは、密接な関係がある、ということです。

例えば火行を例にしてみると・・・

五臓は“心”。
季節は”夏”。
夏の特徴は”暑さ”ですよね。
当然、”汗”をかきやすくなります。
”小腸”にもその影響が現れやすく、その顔色は”赤”くなり、その症状は”舌”にあらわれる―
このように各行を横のつながりで見ていけば良いわけです。


ちょっと専門的な感じになってしまいましたが…
医学的な分野だけでなく、五行の文化って意外とわたしたちの身近に生きています。

例えば言葉だと、”青春”。
木行を見てみると、色は青で、季節は春。ここからできた言葉です。
同じもので金行を見ると、”白”い”秋”。北原白秋の名前の由来です。

それから、土用。
土用=鰻という方も多いと思いますが、土用というのは夏だけではなく、各季節にあります。
もともと四季は四つしかないけれど、五行に割り振らないといけません。
土行のためにそれぞれの季節から当てたから、”土用”。

それから、お相撲が好きな方はご存知だと思いますが、土俵の上の屋根の四隅の房飾。
青、赤、白、黒の四色があります。
中央が土俵=黄色なのも面白いですよね。
元々これは、東西南北をそれぞれ護る四神をあらわしていると言われます。

*四神というのは、東の青竜、南の朱雀、西の白虎、北の玄武のこと。
都は”四神相応の地”に築かれたとかで、京都もこれらの四神が棲むという地形になぞられて作られています。


さて、その中でも、食べ物の味を五行に当てはめた“五味”は、
同じ行に配当される五臓の働きを助け養う味とされます。
それぞれの味は食養生の上での基本となります。


次回は、五臓と五味の関係についてお話したいと思います(*^_^*)



五行ってなんだろう?~五行図の見方~

”陰陽五行説”は東洋医学-ひいては薬膳の、基礎的な考え方です。
今日は”五行”について。

“五”は世界を構成している五つの元素―木・火・土・金・水。

“行”は五つの元素の間の巡り(運動・変化)を意味します。


左の図は“五行”を図式化した【五行図】です。

“木・火・土・金・水”の五つの元素。

その元素が、お互いに影響し合う関係
―抑え合ったり(相剋)、助け合ったり(相生)する法則を示しています。





もう少し詳しく見ていきましょう。


外側を巡る矢印が、助け合う相生の運動
木は火を生み、火は土を、土は金を、金は水を、水は木を生む。

もう少しわかりやすくストーリー仕立てにすると…

木を擦ると火が生まれ、木を足せば火が強まる。
木が火によって燃え尽きれば灰=土となる。
土の中で金属(鉱物)が生じる。
鉱脈から水がわき出る。
水は木(植物)を育む。

こんな感じでしょうか。
矢印をたどると、五角形になります。



内側を巡る矢印が、抑え合う相剋の運動
木は土を抑え、土は水を、水は火を、火は金を、金は木を剋する。*”剋”は”打勝つ”という意味。

こちらもストーリー仕立てで…

木は土に根を張り、土の養分を吸収して成長する。
土は水を吸収し、土によってつくられる堤防は、水の流れを堰き止めたり、コントロールする。
火は金属を溶かし、その形を自在に変化させる。
水は火の勢いを弱め、消す。
金属でつくられた斧やのこぎりは、木を切り倒す。


こちらは、五芒星の形になります。


どちらのストーリーも、個人的にはちょっと無理があるというか、納得できない所もあるにはありますが…(・・;)

この相生・相剋の二つの関係は、事物や現象の平衡と協調―つまりバランスを維持するメカニズムを説明しています。
この二つの力がなくては、正常な状態を維持することは出来ないのです。

相生をアクセルとすれば、スピードを一定に維持する抑制の力=相剋はブレーキの役割と言えます。

反しながら、お互いに必要な二つの変化の巡り。
相生・相剋は、”陰陽”の関係とも言えるかもしれません。


ところで、“陰陽”と“五行”。
古代まで遡ると、この二つはもともと別物です。
それぞれ宇宙のバランス法則を表した、数式のようなものかもしれません。


“精気学説”といわれる古代哲学―宇宙は目に見えない“気”というエネルギーによって出来ていて、“気”の運動が、宇宙を運行させ変化を生じさせる、という考え方で見てみると、
“陰陽”と“五行”はともに”気”の性格やその特徴を抽出し、相互に影響し合う関係のものである点で、親和性があります。
時代が下って“陰陽”と“五行”を組み合わせた、陰陽五行説” が唱えられたようです。 


次回は、五行の分類について、もう少し詳しくみていきたいと思います(*^_^*)