2017年2月2日木曜日

冬の養生法

寒い時期が苦手です。

眠いし、動きたくないし、体も重くなるし、気分もイマイチ上がらず、なんだかやる気も出ない…
食べて寝て、生きているだけで自分を褒めてあげたくなります(^_^;)
 
もうすぐ立春なので、旬は過ぎつつありますが、冬期の養生についてお話したいと思います。



 
突然ですが、東洋医学の原典とも言われる『黄帝大経素問』。

幼い頃からとっても賢かったという“黄帝”という伝説上の皇帝が、天地万物万象について、先生達にあれこれ質問するという体裁になっています。

 
その一番最初の問いは、「昔の人は、100歳を超えても動作が衰えず、元気だったのに、今の人たちは50歳そこそこでもう衰えてしまうのは、一体どうしてなのであろうか?というもの。

 
これに伯という先生が答えます。

 

「上古の人、其の道を知る者は陰陽に法り、術数に和し、飲食に節あり、起居に常あり、妄りに労を作さず」

『黄帝大経素問』上古天真論編より

 

つまり、陰陽の法則=宇宙大自然の法則を知る上古の人々は、
自然界の順序の法則にも順応・調和して行動し、節度ある飲食、規則正しい生活に勤め、心身を疲れさせない、そういう生き方をしていたということです。

 
そしてこの後、伯先生は大変辛口に「今時の人」の乱れた生活を論うわけですが、この「今時の人」というのは、今から数千年前の人々のことを言っているのでしょうから、現在に生きるわたしたちの生活を見たら、びっくりされるでしょうね。

 
さて、数千年前に「昔」と言われるような昔には、真人・至人・聖人・賢人と言われる人々がいたそうです。

これら昔の「道を知る」人々の養生法は、天地陰陽の変化に寄り添った行動であり、それぞれの四季の変化に合わせるよう努力し、修養することで天与の寿命を豊かに生きたそうです。

 
その中で、冬の養生法について、こう書かれています。

 
冬三月,此謂閉藏,水冰地,無擾乎陽,早臥起,必待日光,使志若伏若匿,若有私意,若已有得,去寒就,無泄皮膚使氣亟奪,此冬氣之應養藏之道也。逆之則傷腎,春為痿厥,奉生者少

 
原典はとってもシンプルなのですが、ちょっと分かりにくいので、小曽戸丈夫氏の語訳を引用します↓

 
「冬の三か月を閉蔵という。それはもろもろのものが門戸を閉ざしてとじこもる季節である。

 この期間は、水は氷り、地は凍てついて寒さが厳しいので、さすがに天の陽気もこれをやわらげることができないほどである。

 このときにあっては、夜は早く寝、朝は遅くまで床にあって日が昇ってから起き、寒気に損なわれないようにしなければならない

 精神的には気を静めて、何かしなければと思う志などふせ隠し、またひそかな心持で、常に満足していなければならない

 肉体的には直に寒さにふれぬように、また、体を温かく保つように注意し、過労して汗をかき、陽気をたびたび逃すことの無いようにしなければならない

 そのようにできれば、冬時における蟄蔵を特徴とする天地の気に相応じることとなり、これこそ、冬時の養生法であるというものだ。

 この養生法に逆らって精神を忙しく動揺させたり、寒にふれたり、過労して発汗し陽気をたびたび逃したりすると、冬の主役である腎の臓が傷害されて発病する
 
 たとえすぐ発病しなくても、春になるとこれが原因となって、手足が萎えて冷える痿厥という病気になる。
 
 これは冬に受けた傷害がもとになって、春の発生の気力が減少した結果、病が表面に出てくるのだ。」

 
多少くどいですが、大事な所を太字&色を付けておきました。

わたしは初めてこれを読んだ時、自分の冬における過ごし方が間違っていなかったのだと、感動したのを覚えています()

寝ていいんだ!!
色々やろうとしなくていいんだ!!
やたらと動いちゃダメなんだ~っ(^o^)丿‼

怠惰に過ごせ、とはどこにも書いてありませんけれどね。
 

冬は眠くて、身体を動かくすのが億劫で、何となく気持ちが上がらないなら…
それはみなさんのカラダが、自然と一体であることの証拠です(*^_^*)
 
 
さて、冬は五行で言えば、五臓では

腎は生命力の宿る場所です。

自然の摂理として、冬期は身体と精神、すなわち生命力をもっとも養生しなければならない季節でもあるわけです。

 
食養生的には、まず五臓を養う五味では鹹味(塩辛い味)が配当されますね。
しょっぱい味は身体を温めてくれますから、“寒”からカラダを護る点でも、理にかなっています。

 
カラダを温める食材としては、五味では辛味の食材が良いです。
生姜・ネギ・唐辛子・胡椒などの薬味を取り入れてみてください。

“冬は根のもの”とか“冬はあぶらと合点して食え”などとも言われます。

根菜類は基本的に温めに作用しますし、お肉や木の実などの油分も、カラダを温めてくれます。
胡桃や栗、ゴマなども良いです。
お餅も体をとっても温めてくれますよ。

また、寒くて発汗が出来ない冬は、体内の水分代謝は腎臓の利尿に頼るしかありません。
ですから、利尿作用のあるものもオススメ。
小豆や大豆などの豆類、ヒジキや昆布などの海藻類の乾物などは、身体を冷やす心配もありません。

飲み物では、緑茶はカラダを冷やしますので、紅茶や番茶など、火で製してあるものが良いかもしれません。
お酒はビール以外は辛味に属し、カラダを温めてくれる百薬の長!
でも飲みすぎないようにご注意。

 
上で紹介した食材は、冬の食卓ではおなじみのものが多いはず。

美味しいものを頂いて、よーく寝て、身体と心を養生してくださいね!

 

【おまけの冬の食養生レシピ‐お汁粉-

冬は何もしていないけれども、お腹が空く、なんてことがありますよね。
三食きちんと食べても、小腹が空いて何かちょっと食べたい、と思いませんか?
 
そこで、みなさんの間食を後押しすべく、
この時期だからこそ食べたくなるおやつ。お汁粉を、食養生的?にご紹介します。

 
カラダを温めてくれるお餅に、利尿作用のある小豆をつかったお汁粉は、腎の養生レシピと言えるかもしれません。

ただし、あんまり白砂糖を入れ過ぎると、却って腎の負担になりますから、甘さは控えめに。

出来れば甘味は、黒砂糖やハチミツを使うともっと◎

そこに、鹹味の塩昆布を添えれば、冬の立派な薬膳スイーツです♪

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